最高な佐賀に暮らして、私の授業がレベルアップしました

浦丸 彩香さん

浦丸 彩香さん

福岡県佐賀市

  • 移住種別Iターン
  • 移住の時期2025年
  • お仕事中学校教諭
  • 休日の過ごし方 家族で散歩

浦丸さんは中学校の先生。2025年、佐賀県公立学校教員採用試験「さがUJIターン特別選考(現職教員)」(※)を活用して、福岡県から佐賀県佐賀市に移住して来ました。
「佐賀は最高じゃないですか」と、力を込めて語る浦丸さん。仕事の面での成長。暮らしの面での感動の様子をうかがいます。

※さがUJIターン特別選考(現職教員):他都道府県(政令市)の公立学校の正規教員で、佐賀県へ移住を考えている教職員に特別選考を実施する新制度。
 R4年度実施では小学校教諭等、R5年度は中学校教諭等、R6年度実施では、高等学校教諭等にも拡大した。

「答えではなく、考え方を教えるという難問を楽しんでいます」

-- 中学校では何の科目を担当していますか。

浦丸彩香さん (以下、浦丸):理科です。理科の中には物理、化学、生物、地学があります。

-- 高校以降は4科目に独立する学問ですよね。それを一度に教えるとなると、先生ご自身の勉強も大変そうです。

浦丸:改めて理科の教員になって、こんなに幅広く学んでいたんだということには私も驚きました。でも、中学校の理科は生活に身近なことを学ぶので、それぞれが少しずつ繋がっていて、全部を一度に学べる楽しさが勝ります。

-- 教員を目指すきっかけとなったできごとはありますか。

浦丸:あります。高校3年生の時の担任の先生が、化学の先生だったんですね。私は化学が好きだったので、よく化学準備室に遊びに行っていました。その先生がある時、「子どもが急に時計を読めるようになったりいろんなことができるようになるのは何でだと思う?」と聞いてくるんです。

-- はい。

浦丸:わからないです、と答えたら「子どもがちょっとずつ何かを獲得していくのを見守ることは楽しいよ」と言うんですよ。

-- なるほど。君は先生に向いているのでは、ということですね。

浦丸:もともと化学を勉強したい、研究に携わりたいという強い思いがありました。そこに子どもの成長に立ち会えるという提案がひとつ。その両方を楽しめる進路として教育学部の理科を選んだのが教員人生の入り口です。

-- 理科の先生、という仕事は、どういう仕事ですか。

浦丸:大学で習ったのは、教科書を教えるのではない。教科書を使って科学の考え方を教えなさい。ということでした。最初は困惑しました。難しすぎて。

-- 丸暗記じゃなく、自ら考える力を大切にするのですね。大切なことだと思いますが、どうしたら科学の考え方は身につきやすくなるのでしょうか。

浦丸:わからないです。今でもはっきりはわからないですけど、授業の前に、毎日ノートを作っています。

-- というと?

浦丸:黒板に書く内容をあらかじめ、ノートに整理する作業です。それを先生になってから20年、続けています。昨年はこう教えたけど、今年はもう少し付け加えようとか、こういう伝え方はどうだろうとか。ノートを毎日、毎年、更新し続けると、一年前の授業より今年の授業の方がいいぞと実感できます。今までの生徒には申し訳ないですが、私も毎年、レベルアップしていますので、どんどん楽しい授業になっていると思います。

-- なるほど。記録する習慣によって、「考え方」を教えることができているか意識的に確認することができるのですね。

浦丸:中学校の先生ってその教科が好きで先生になっているんです。私だけじゃなく、他の教科の先生方、体育の先生も音楽の先生も「いかに生徒たちを楽しませるか」ということに熱中しています。特に佐賀に来て、今の学校で働いて、佐賀の先生方は「熱心」の度合いがすごいなと感じています。丁寧に、細かいことまで気を配って先生をされているなと驚かされることばかりです。

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(職員室での立ち話。育児中の浦丸さんも「親身にご配慮いただいて、とても働きやすい職場です」とのこと。)

「対策できない採用試験、だから普段通りの自分で臨むことができました」

-- 浦丸さんは佐賀県公立学校教員採用試験の「さがUJIターン特別選考(現職教員)」に応募して、福岡県から佐賀県へ移住されました。どのような試験でしたか。

浦丸:私が応募した佐賀県の「現職特別選考」は試験が面接と模擬授業だけだったんです。対策のしようがない。だからこそ今までの自分のやり方をしよう。そう考えました。

-- 模擬授業は何を行ったのでしょうか。

浦丸:「火山噴火」についての授業を行うよう指定されました。その後、面接です。

-- 面接ではどんな話をされるのでしょうか。

浦丸:模擬授業の内容について聞かれました。教科書では、火山噴火の様子を教室内で再現するために、ホットケーキミックスを使うことになっていたんです。でも、私はスライムを使いました。なぜ教科書と違うスライムを用意したのかと質問されました。

-- なぜだったんでしょう。

浦丸:ホットケーキミックスは食べ物としてはもう使えなくなってしまうじゃないですか。だから実験で食べ物をムダにしたくないということ。それとスライムは着色しやすいので、よりマグマらしい見た目に近づけることができますよね。そういう話をしたと思います。

-- 工夫ですね。教科書を教えるのではなく、教科書を使って考える。まさにそのあらわれとなるような試験だったようです。そもそも佐賀への転職を選ばれた理由を教えていただけますか。

浦丸:妊娠、出産です。その後の育児は家族が近いところが安心でした。夫の実家が佐賀県佐賀市にあり、移住を考えていることを話すと歓迎してくれました。だからもし試験結果が伴わなくても、佐賀に暮らしながら、福岡の職場に通うという選択肢はありました。

-- 幸い試験に合格されて、佐賀市の中学校で働くことになります。もう少し現職での体験、暮らしの中で考えていることなど教えてください。

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(授業ノートのあるページ。板書を書きとる生徒は大変なのに、私だけ楽するわけにはいかないと笑う浦丸さん。)

「大好きになった佐賀だから、授業のおもしろさもレベルアップしました」

-- 佐賀県に来たことによって、レベルアップできたと感じることはありますか。

浦丸:あります。佐賀県の公園に、まっすぐ下に落ちる滑り台があるじゃないですか。手を離すとヒュッと落ちるアレ。伝わりますか。

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(青い▼印が、まっすぐ下に落ちる急こう配の滑り台。)写真の出典:子育てし大県”さが”HP

-- はい。アレですね、わかります。

浦丸:アレって福岡では見かけないんですよ。佐賀にしかないのかな?わからないですけど佐賀県に移住して初めてあれを見つけて。物理の問題で斜面を下る運動について、緩やかな斜面と急な斜面、どちらが早く降っていくか。そういう話をするときに、あの滑り台を例に出したりします。クリーク(水路)の話もするんです。

-- はい。佐賀平野にはクリークが多いですね。

浦丸:クリークの横を歩いていると、白い花が咲いているんです。あなたたちは、その花に気づいてる?通学路にあんなかわいい花が咲いているのは佐賀くらいよ。とか話すんです。

-- こちらは地理の側面でしょうか。身近なことを例にしながら話すと、生徒の反応は違ってきますか。

浦丸:はい、ニヤニヤしながら聞いてくれるんです。私自身が佐賀に移住したばかりです。日々、喜び、楽しさ、驚きみたいなことがあります。「気球って普段から飛んでるの?」、「レンコン畑の花の盛りが美しすぎないですか?」とかですね。夫と子どもと、散歩したりドライブしている合間の日常的な感動を中学生たちにも伝えたいと思って、授業ノートを「佐賀版」に作り直していく作業を楽しんでいるところです。

-- 私(ライター)も移住者で、佐賀は最高だと日々思っているのですが、佐賀の人は謙遜するところがありますね。

浦丸:夫が、佐賀のことをよく言わないときがあるんですよ。温泉あるよね、いや大分には別府があるけん。お茶もおいしいよね、いや福岡にもあるけん。とか、そういう感じなんですよ。私からしたら、食べ物はおいしいし景色もいいし子どもの遊び場もいっぱいあって最高なんですよ。だから、佐賀のみなさんは謙遜するんだな、そういう県民性なんだなということは最近気づきました。とにかく優しいんです。県民性として優しい人が多い。たとえば、私が怒ると夫はすぐ折れてくれます。

-- 怒ることがあるんですね。

浦丸:はい、家庭では怒ることもあります。夫は優しい人なんです。学校でも先生方が全然ギクシャクしていない。職員室の中が平和です。佐賀の人はいいな、すごいなと思います。

-- 福岡から佐賀へ。車で移動するとそれほど遠くはありません。でも、移住して良かったと感じていらっしゃいますか。

浦丸:はい、とても。よく散歩するようになりました。公園も広々として、子どもを遊ばせやすいですよね。え、ここ芝生なの?え、犬を入れていいの?ボール遊びしていいの?とか驚いてばかりで。景色もすごくきれいじゃないですか。平野も、空も広くて。佐賀の人はもう驚きもしないんでしょうけど、迫力があって日々、感動しています。佐賀県って、のびのびとしたところなんだなと思います。住んでみると、もうここを出られないなという気持ちです。

-- わかります。のびのびと生きる、のびのびと成長できる佐賀県の魅力を学生たちにも伝えていきたいですね。浦丸さん、本日はありがとうございました。

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(斜面を下る運動に関する板書。なぜ先生って、こんなに綺麗に字や図を書けるのでしょうか。)

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(芝生の公園に蓮の花。こんな風景の中を、日常的に散歩できる子育て環境も佐賀の魅力です。)


R8年度(R7年度実施)佐賀県公立学校教員採用試験から「さがUJIターン特別選考(民間企業等)」もあり、現職教員に加え民間企業等にお勤めの方も受験できるようになりました。
実施要項について、くわしくは佐賀県教育委員会の募集ページをご覧ください。

お問い合わせ先
佐賀県教育委員会事務局 教職員課
TEL: 0952-25-7212 FAX: 0952-25-7319
MAIL: kyoushokuin@pref.saga.lg.jp

佐賀県教職員採用サイト
https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003115187

 

また、9月6日(土)に現職教員や社会人経験者の方へ向けた、佐賀県教員採用オンライン説明会を開催します。
試験の概要だけでなく、現職教員から直接経験談を聞くことができます。
ぜひご参加ください。
詳細はこちらからhttps://www.sagasmile.com/event/archives/266
 

文章:いわたてただすけ
写真:川浪勇太

公開日:2025年08月29日
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