「ちょうどいいサイズ」の有田町で見つけた、二人の暮らしのリズム
阿部 正紀さん
東京都→有田町
- 移住種別Iターン
- 移住の時期2025年1月
- お仕事フリーランス(IT関係)
- 休日の過ごし方 おでかけ、家でのんびり
あなたにとって「ちょうどいい」と感じる町は、どんな場所でしょうか。
フランスで出会った阿部正紀さんと妻のロワイエ・アユマさん。それぞれお二人にはある夢がありました。阿部さんには「日本で暮らし文化を知ること」、アユマさんには「日本の焼き物を学ぶこと」。お二人は夢を叶えるために東京で暮らしました。そして、焼き物の産地を巡るなかで有田町と出会い移住をすることに。町や人とのつながりは、お二人にとって「自分たちにあったリズム」に感じたといいます。お二人の夢のことや暮らしについてお話を聞きました。
日本へ向かった、それぞれの理由
――お二人が日本で暮らしてみたいと思った理由を教えてください。
阿部正紀さん(以下 阿部):僕はフランス人の父と日本人の母のもとに生まれ、フランスで育ちました。2歳から4歳まで一度、京都に住んだことはありますが、その後の暮らしはほとんどフランスでした。大人になって、ハーフというアイデンティティを持ちながら、日本語をあまり話せないことや日本の生活を知らないことを残念に感じるようになり、フランスで日本語を学ぶことにしました。いつか日本で生活すること夢見ていたので、まずは語学をと思っていました。
アユマさん(以下 アユマ):私は美術を学びながら焼き物に興味を持ちました。日本の焼き物は歴史が長く、その技術に魅力を感じ、学んでみたかったんです。一度、埼玉で一か月のインターンシップを経験したとき、「フランスで学んでいた技術とは少し違うな」と感じて、もっと勉強したいと思っていました。
――最初に暮らす場所は、どうやって決めたんですか?
阿部:私は日本の学校に編入する機会があり、アユマさんは日本語学校に通う予定でした。私は日本国籍を持っていて、アユマさんはワーキングホリデーで1年暮らせることもあり、「まずは1年間暮らしてみよう」と話しました。私の学校と妻の通える日本語学校が東京にあったので、「じゃあ、東京に住もうか」ということで、東京で暮らすことを決めました。
――初めは1年間の予定だったとのことですが、変わったきっかけは何だったのですか?
阿部:私は東京で就職し、妻も日本での暮らしを気に入っていました。最初は1年のつもりでしたが、二人で「もう少し日本で暮らしてみよう」と思うようになりました。そのあたりで結婚をしたんです(笑)。
焼き物を手がかりに有田町へ
――アユマさん。焼き物を学ぶ場所は、どのように探したんですか?
アユマ:当時、東京で焼き物のクラスに参加していましたが、「もっと深く勉強できる場所はどこなんだろう」って。そうしたら、陶芸家の友人が日本各地で学べる場所のリストを作ってくれたんです。それを手がかりに二人で関東周辺や石川県などの産地を訪ねていったんです。有田町もその一つでした。
――初めて有田町を訪れたとき、どんなところが印象に残りましたか。
アユマ:町が大きすぎず、散歩しながら神社やお店を見ることができて、いい雰囲気だと思いました。私は歴史に興味があったので、小さな美術館があるところもよかったです。スーパーも、車がなくても行けそうな距離だと思いました。
阿部:私は、小さくてゆっくり暮らせそうなところがいいと感じました。自然に囲まれて暮らせること、生活必需品がこの町でそろうこと、焼き物という歴史ある文化と、新しい店もできていること。それに、福岡へ電車で行けるのも魅力でしたね。町の規模も、僕たちには「ちょうどいいサイズ」だと感じました。
――お二人とも生活面を見ていたんですね。東京の暮らしと有田の暮らしには、どんな違いがありましたか。
阿部:東京には美術館や歴史的なスポット、買い物など、選択肢がたくさんあります。私は、選択肢が多すぎて迷ってしまう性格ですから、どこに行くか決められなくて「今日は家にいよう」ってこともあったんです(笑)。
――確かに、選択肢の多さっていいこともあるけど、悩む要因になりますもんね。
阿部:そうなんです。有田は東京より選択肢が少なく見えるかもしれませんが、やりたいことが見つかると、人とつながって自然と動き出せる感覚があります。誰かと会うと関係ができやすいところも、有田の可能性を感じた魅力でした。
お試し移住で暮らしを思い描く
――初めて有田に来たときは、どんな時間を過ごしていたんですか。
阿部: 移住を決める前に、お試し移住体験に申し込んだんです。滞在する場所も用意してくれたりして。一週間の滞在でしたが、町を歩いたり観光したり、自転車で移動したりしました。来た瞬間に「ここだな」と頭の中では決めていたのかもしれません(笑)。
――ビビビ!って来たんですね!有田町と水が合ったような感覚なのかもですね。
阿部:そうなのかもしれません。とても縁を感じました。「どこか家ありませんかね?」って話したとき、ある方から「空いているかもしれない家があるよ」って情報を教えてもらったんです。内見してみると素敵な家だったので、「ここ住みたい」と思い、東京に戻ってから、不動産会社に連絡を取ったりしながら物件を決めて、移住する準備を進めて、2025年1月に有田町での生活を始めました。
――トントン拍子に進んでいったんですね。ご縁ですね!有田移住前に不安に思ったことはありましたか?
阿部:交通手段ですね。東京では家の近くにスーパーがあったり買い物の不便は全くなかったですし、外食などの夜の過ごし方も充実していました。有田では生活環境が大きく変わるため、最初は少し不安でした。
アユマ:私も、年に1度、フランスに帰国する際に、東京の空港が遠くなるのは不便だと思いましたが、福岡にもとても便利な国際空港があり、電車でのアクセスがいいのに加えて、地方の空港だから人も少なく、待ち時間もほとんどなくて。今は移動の面でも不便に感じることはありません。
――実際に有田町で暮らし始めてみて、いかがですか?
阿部:静かで、ゆっくり過ごせるところは気に入っています。移住してすぐの頃「車の免許が必要かな」と免許を取得することにしたんです。その間の一か月ほどは自転車で生活をしていました。夜外食へ気軽にはいけなかったんですが、買い物とか、スーパーは自転車で少し走った先にありました。暮らしてみたら交通手段のことで不安に思っていたことが、全然大丈夫でした。むしろストレスが少なくなり、自分たちの生活のリズムというか、形ができてきた感じがします。免許取得後に、車を買うことも考えたんですが、「自転車と電車での移動が楽しい」って、気に入りまして、今も続けています(笑)
「学び」と「文化」。夢が形になっていく場所、有田町。
――アユマさんは、有田でどのように焼き物を学んでいるんですか。
アユマ: 2025年4月から1年間、佐賀県窯業技術センターの研修生として絵付けを学びました。有田焼などの焼き物産業には、手描きや転写など、いろいろな技法があります。焼き物産業の分業をしながら一つの器を作るところにも面白さを感じていました。研修生として勉強するだけではなく、窯元さんのところでアルバイトも始めて、今は絵付けに携わっています。
――学んだ技術を即実行してるんですね。日本とフランスで焼き物を仕事にできる環境って、やっぱり違うんでしょうか。
阿部:フランスでは、大量生産の器と個性の強い作家の作品の両極端で、日本の焼き物産業のように、仕事として焼き物を続ける環境があまりないと思います。日本には、消費者とアーティストの間に「工芸」があって、焼き物を仕事として続けられる環境があります。その環境はとても素晴らしいと思います。
――移住する時点で、阿部さんの仕事は決まっていたんですか?
阿部:次の仕事は決めていませんでした。リモートワークは続けようと思えば続けられたと思いますが、僕には少し合わず、会社を辞めました。フリーランスに決めたのは、有田へ来てから少し後です。一日中パソコンの前にいるのではなく、半日は人に会ったり手を動かしたりする仕事がしたいと思っていました。でも一応、近くのソフトウェア会社も探していたりはしましたが、仕事がなかったら、自分のスキルでもあるプログラミングを生かしたリモートの仕事や、英語・フランス語を教えたりもできるなとも考えてはいましたね。
――移住するときに仕事を決めておくことって大切だと思うんですが、そこはあまり不安もなかったんですか?
阿部:そうですね。ありがたいことに、有田に移って少し経ったころ、町の靴下店からオンラインショップのリニューアルの依頼があったんです。店の活動に共感し、私自身「この地域に貢献したい」と思ったので、フリーランスで仕事を始めようと思いました。その後、福岡の会社から案件を受けたこともありましたが、今は有田や近隣地域の人のために仕事をしていきたいと思っています。
自然と人とのつながりの中で見つけた、二人の暮らしのリズム
――有田のどんなところに魅力を感じていますか?
阿部:やっぱり「選択肢と可能性」です。東京は何でもある分、選択肢が多くて、どこに行けばいいか迷うこともありました。有田では、学びたいことがあると、自然と人につながって、次に進む道が見えてくる感覚があります。一週間の移住体験中も、町を歩くうちに人と知り合い、家が見つかりました。仕事にもつながっていきました。静かでゆっくりできる。ストレスが少ない。自分たちの夢が叶う町。有田という地域には人との縁が繋がる魅力と、自分たちの夢が叶う可能性を感じています。
――有田への移住は、お二人にピッタリだったんですね。最後に移住を考えている方にメッセージをお願いします。
阿部:僕たちにとって、一週間のお試し移住体験は本当にいい経験でした。ゆっくり町の雰囲気を感じられるので、おすすめしたいです。有田には、まだまだたくさんの魅力があると思います。有田町に是非遊びにいらしてください。
――本日はありがとうございました。
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(https://www.sagasmile.com/support/trial_telework)
文章・写真:山本 卓









